認知症の親の対応【間違いを正してはいけない】

【参考にしてくださっている方へ】
母の認知症状が始まってからの対応として、後になって「間違いだった!」と気づいたことがあります。
親子関係、兄弟構成、現在の状況など、人によって違っているため、どうしたらよいかの画一的な答えはありませんが、
私が「もっと早く知っていれば」と、私が感じたこと、知ったことをお伝えしていけたらと思っています。
よかったら、参考になさってください。

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あー、もっと早く知りたかったと思ったことのひとつが、
「親が言っていることについて、間違いを正してはいけない」ということ。
明らかな間違いであったとしても、それが間違いであると指摘したり、
なんとかわかってもらおうと正しいことを説明するのは不毛どころか、
親の認知症状を悪化させる方向に向かってしまうからです。

 

なぜ親の認知症状が悪化してしまうのでしょうか。
それは「心に不安を植え付ける」ことになる、ということのようです。

 

仮に、自分が絶対に正しいと疑わないことを全面的に否定されたら、どんな気持ちになるでしょう。
今日の天気は曇りなのに、「いーや、今日は晴れでしょ」と言われたら?
目の前にはどんよりと曇った空が広がっているのに、混乱し、不安になるはずです。
そんなことが繰り返されるほど、「自分はおかしくなってしまったんだろうか」と
お年寄りでなくてもまいってしまっても無理はない気がしませんか?

 

私たちは普通、晴れているのに「曇り」と聞けば「ん?今日は晴れだよ」と言いたくなります。
それはいたって普通のことです。
約束をすればその約束は守ってもらえるはずだし、
守ってもらえないなら、それなりの理由が聞きたくなります。

 

けれど、晴れているのに曇りと言うのは、視力が落ちているからであったり、
間違っていることを言い張ったりするのも、本人はそう信じて疑う余地がない、
いろんなことを覚えていないのも、脳の機能が低下しているから
ということをずいぶん経ってからわかるようになりました。

 

私もなんとかわかってもらおうとして、一生懸命に、工夫して優しく説明したりしましたが、
振り返ってみると、そんな努力は不毛というより、マイナスでした。
わかってもらえないことで生まれる「驚き」「我慢」「失望」「怒り」「悲しみ」
そんなネガティブな感情だけは、親に伝わってしまうからです。

 

ここは失敗ゼロというわけにはいかないのでしょう。
でも、前もって知識というか、心構えとして知っておくことは、
親にとっても、ご自身にとってもプラスに働くと思います。
「間違いを正さない」ようになるまでの期間をできるだけ短くできるはずで、
どんなことでも、問題を解決するという意味で、
「知識」として知っているか、いないかの違いはとても大きいと思うのです。

 

たとえば、脂肪1キロは7000キロカロリーもあるということを知っていれば、
体重がなかなか思うように減らなくても、知らないよりも焦らずにすむでしょう。
実際は、焦る気持ちはゼロにはできないかもしれませんが、
状況を冷静に見据えて結果を出すのには役に立ちます。

 

近年、男性向けの「女性の心理や取扱書」が話題になることがありますが、
わからないものを理解するのはとても難しいことですよね。
女性がなぜ怒っているのかがわからない男性に、女性の心理を理解しろというのは難しいのです。
難しいというか、ほぼ無理だと思います。

 

でも、わからないことでも、とりあえず対応策を知ることで、
問題を円満に解決することは難しいことではありません。
大事なことは、「認知症状を進行させないこと」のはずであり、そのためには
「正しいことをはっきりさせること」にとらわれないで
「相手の気持ちをなだめて落ち着いてもらう」対応がベストなのです。

 

親をなだめる、というのはあまりよい言い方ではありませんが、
間違いを正そうと軋轢が生じるほど、よくない方向に向かってしまいます。
なんとかわかってほしいと、事実に向かって歩み寄ろうとすると気力を消耗しますので、
「結果重視」で、間違っていることを言っていても正すのではなく、できるだけ話を合わせるようにしてみてください。

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